ポルフィリン症の分類
ポルフィリン症は、ヘムの生合成経路の酵素異常により、中間代謝物が体内に蓄積する遺伝性の代謝疾患です。 急性肝性ポルフィリン症(acute hepatic porphyria:AHP)の代表的な症状としては激しい腹痛などの消化器症状があり、それに加えて、四肢の痛みや筋力低下などの神経症状、不安や幻想・妄想などの精神症状、嘔吐・便秘などの自律神経症状を伴うことがあります。 1874年に世界で初めての症例が、1920年に日本で初めての症例が報告されました1。 ポルフィリン症は、ヘム生合成過程のどの酵素に異常があるかに応じて、9つの病型に分類されています。
分類 | 病型 | 異常酵素 | 遺伝形式 | |
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急性 | 肝性 | 急性間欠性ポルフィリン症(AIP) | PBGD/HMBS | 常染色体 顕性遺伝(優性遺伝) |
遺伝性コプロポルフィリン症(HCP) | CPO | 常染色体 顕性遺伝(優性遺伝) |
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異型ポルフィリン症(VP) | PPO | 常染色体 顕性遺伝(優性遺伝) |
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ALA脱水酵素欠損ポルフィリン症(ADP) | ALAD | 常染色体 潜性遺伝(劣性遺伝) |
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皮膚型 | 晩発性皮膚型ポルフィリン症(PCT) | UROD | 常染色体 顕性遺伝(優性遺伝) |
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肝性骨髄性ポルフィリン症(HEP) | UROD | 常染色体 潜性遺伝(劣性遺伝) |
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骨髄性 | ||||
先天性骨髄性ポルフィリン症(CEP) | UROS | 常染色体 潜性遺伝(劣性遺伝) |
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骨髄性プロトポルフィリン症(EPP) | FeC | 常染色体 顕性遺伝(優性遺伝) |
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X連鎖顕性(優性)プロトポルフィリン症(XLPP) | ALAS2 | X連鎖 顕性遺伝(優性遺伝) |
PBGD:PBG脱アミノ酵素、HMBS:ヒドロキシメチルビラン合成酵素、CPO:コプロポルフィリノーゲン酸化酵素、PPO:プロトポルフィリノーゲン酸化酵素、ALAD:ALA脱水酵素、UROD:ウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素、UROS:ウロポルフィリノーゲンⅢ合成酵素、FeC:フェロケラターゼ、ALAS2:アミノレブリン酸合成酵素2
臨床症状による分類
腹痛や運動麻痺などの、急性の神経症状が生じるものを「急性肝性ポルフィリン症」、光線過敏症など皮膚の症状を主体とするものを「皮膚型ポルフィリン症(cutaneous porphyria:CP)」に分類しています。AHPの発症頻度では、急性間欠性ポルフィリン症(acute intermittent porphyria:AIP)が最も多いのが特徴です。
ポルフィリン代謝異常が起こる部位による分類
異常酵素が過剰に産生される部位に基づいて、肝細胞内で起こるものを「肝性」、赤芽球内で起こるものを「骨髄性」に分類しています。
- 参考文献
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- 近藤 雅雄, 矢野 雄三, 浦田 郡平. ALA-Porphyrin Science. 2012;1(2):73-82.
- ポルフィリン症の分類
- ヘム生合成過程の異常とAHP
- AHPの発症要因
- 疫学