検査

尿検査による急性発作時の診断

急性肝性ポルフィリン症(acute hepatic porphyria:AHP)の診断の手がかりとしては、急性発作時に上昇する、尿中のアミノレブリン酸(ALA)やポルフォビリノーゲン(PBG)などを指標とした検査が有用です1,2。24時間蓄尿ではなく、部分尿で検査が可能です。 AHPが疑われる患者に対する尿検査は保険診療の範疇であり、かつ、侵襲性が極めて低いため、日常診療でも行いやすい検査となっています。ただし、急性発作時に異常値でも、寛解期には正常値に戻ることが多く、検査のタイミングや検査結果の解釈には注意が必要です。 確定診断には、尿検査に加えて、遺伝学的検査を行うこともあります2

急性肝性ポルフィリン症診断のための検査
尿検査(随時尿)
尿検査のイメージ
尿検査の項目∗1 基準値∗2
δ-アミノレブリン酸(ALA) 0.7~2.5mg/g・Cr チェックマーク
ポルフォビリノーゲン(PBG) 2mg/g・Cr以下 チェックマーク
ウロポルフィリン(UP) 2~44μg/g・Cr チェックマーク
コプロポルフィリンⅢ(CPⅢ) 0.6~150μg/g・Cr チェックマーク
∗1:
これら4項目の検査は、保険診療下で行うことができる。
∗2:
クレアチニン補正値を示す。尿中ALA及びPBG濃度などの検査値は、寛解期よりも症状発現時により著明な増加を示す。
櫻林 郁之介, 熊坂 一成 監/伊藤 機一ほか 編『最新臨床検査項目辞典』医歯薬出版, 2008年
尿検査は可能な限り症状発現時に実施することが望ましいです。

尿検査で病型が判断できない場合は、遺伝学的検査を行うこともあります。

令和4年度診療報酬改定において、AIP、VP、HCPが遺伝学的検査の対象疾患に追加されました(2022年4月)。
AIP: 急性間欠性ポルフィリン症、VP: 異型ポルフィリン症、HCP: 遺伝性コプロポルフィリン症
参考文献
  1. Anderson KE, Bloomer JR, Bonkovsky HL, et al. Ann Intern Med. 2005;142(6):439-450.
  2. 難病情報センターホームページ(2022年7月現在)から引用
  1. 尿検査による急性発作時の診断
  2. AHPで確認される生化学異常