AHPの症状

急性肝性ポルフィリン症（acute hepatic porphyria：AHP）では、ヘム前駆体であるアミノレブリン酸（ALA）やポルフォビリノーゲン（PBG）などが蓄積することにより、神経障害が生じると考えられています。 腹痛を訴えて受診することが多く、9割以上の患者が腹痛を主訴に受診したとのデータもあります¹。加えて、末梢神経系、中枢神経系、自律神経系などに1つ以上の症状がみられます。 また、AHP患者の25-35%に、低ナトリウム血症がみられることも明らかになっています¹。

日本でAHP患者を対象に行われた調査では、自覚的初発症状として腹痛が最も多く78.8％（278/353例）、次いで嘔吐が44.5%（157/353例）、便秘が22.9％（81/353例）にみられました⁵。 自覚的初発症状に、病型による大きな差異は認められませんでした。

他覚的症状としては、末梢性運動麻痺、高血圧、頻脈、四肢知覚障害（表在性）などが確認されています。他覚的症状にも、病型による大きな差異は認められませんでした。 ポルフィリン症では、急性発作時に、骨髄性プロトポルフィリン症（EPP）以外の病型でみられるポートワイン尿ともいわれる尿の着色が特徴的とされています。しかしながら、暗褐色（赤色）尿がみられる頻度は半数以下で、353例中132例（37.4％）に過ぎないことが、国内のデータから明らかになっています⁵。 そのため、尿の着色の有無のみでの判断は難しく、検査結果の解釈には注意が必要です。

「尿検査による急性発作時の診断」のページへ

参考文献

1. Ventura P, Cappellini MD, Biolcati G, et al. Eur J Intern Med. 2014;25(6):497-505.
2. Anderson KE, Bloomer JR, Bonkovsky HL, et al. Ann Intern Med. 2005;142(6):439-450.
3. Puy H, Gouya L, Deybach JC. Lancet. 2010;375(9718):924-937.
4. Balwani M. Clin Adv Hematol Oncol. 2016;14(11):858-861.
5. 近藤 雅雄, 矢野 雄三, 浦田 郡平. ALA-Porphyrin Science. 2012;1(2):73-82.

• AHPにおける鑑別診断の重要性

1. AHPの症状
2. AHPにおける鑑別診断の重要性
3. 急性発作の主な誘因
4. 長期罹患に伴う合併症リスク