長期罹患に伴う合併症リスク
急性肝性ポルフィリン症(acute hepatic porphyria:AHP)の高齢患者を含む試験からは、アミノレブリン酸(ALA)の長期毒性によるものと推察される、肝疾患や慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の有病率増加が示されています1。高血圧を合併するAHP患者では、CKDのリスクが高まるとのデータも報告されています2。 日本人のCKD患者数は約1,330万人、成人の約8人に1人がCKDであり、高齢者における有病率が高いことが明らかになっています3。たとえば、急性発作を発症していない、もしくは発作が頻繁に起こらないようなAHP患者では、AHPより先に、CKDとして診断される可能性も考えられます。 また、50歳以降の原発性肝癌(主に肝細胞癌)のリスクが80倍、女性においては150倍増加したとするデータも明らかになっています1。 AHP患者の長期罹患に伴う合併症リスクについては論文ごとに異なる記述がみられる現状で、統一された見解はありません。今後、明らかにすべき課題であるといえるでしょう。
- 参考文献
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- Bissell DM, Anderson KE, Bonkovsky HL. N Engl J Med. 2017;377(9):862-872.
- Pallet N, Mami l, Schmitt C, et al. Kidney Int. 2015;88(2):386-395.
- 日本腎臓学会編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018. https://cdn.jsn.or.jp/data/CKD2018.pdf
- AHPの症状
- AHPにおける鑑別診断の重要性
- 急性発作の主な誘因
- 長期罹患に伴う合併症リスク