AHPの治療
掲載されている薬剤の使用にあたっては各薬剤の添付文書をご参照ください。
急性肝性ポルフィリン症(acute hepatic porphyria:AHP)は、アミノレブリン酸合成酵素1(ALAS1)の発現亢進により、神経毒性を有すると考えられているアミノレブリン酸(ALA)やポルフォビリノーゲン(PBG)などのヘム生合成中間体が体内で過剰に産生されることで、急性発作やその他の様々な症状が発現する遺伝性の代謝疾患です。
本疾患に対する薬物療法としては、ヘミン製剤による治療とsiRNA(small interfering RNA)製剤による治療があります。また、各症状に対して対症療法が行われることもあります。
ヘミン製剤による治療
ヘミン製剤は、ヘム生合成系の最終産物であるヘムを投与することで、ALAS1活性に対してネガティブフィードバックを発現してヘム生合成中間体(ALA、PBG)の過剰な産生を抑制します。日本では、ヘミン注射液が、2013年3月に「急性ポルフィリン症患者における急性発作症状の改善」を適応症として承認されました。発作が発現した際に点滴静注します。
siRNA製剤による治療
siRNA製剤は、RNA干渉(RNA interference:RNAi)により肝臓のALAS1 mRNAの特異的な分解を促進することで、ヘム生合成の律速酵素であるALAS1の発現を低下させてヘム生合成中間体(ALA、PBG)の過剰な産生を抑制します。日本では、siRNA(small interfering RNA)製剤であるギブラーリ(一般名:ギボシランナトリウム)が、2021年6月に「急性肝性ポルフィリン症」を適応症として承認されました。ギブラーリは1ヵ月に1回定期的に投与する皮下注製剤です。
ギブラーリに関する詳細情報は製品サイトをご覧ください
対症療法
AHPによる様々な症状を緩和・軽減するために、それぞれの症状に応じた対症療法を行います。
また、これらの治療を行うと同時に、AHPによる急性発作を起こしやすくする誘発因子を避けることも重要になります。